匠の宿 山懐からの手紙

どこからも遠く、だからこそめぐり遭える「湯」と「自然」と「人」。山懐で癒しの宿を守り続ける番人達からの手紙

 平湯峠より望む20070725182640.jpg
                                      ※一部写真を加工しております


ゆるやかに左に曲がる


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名前など解らない、道の両側に小さな花が咲き


振り返ると、宿の建物が木々の間に覗く


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                                                                                     つづく


山懐の地より





      




平湯


武田信玄の軍勢がここを通った際、白い猿が温泉へ導いた うんぬん
までは何とか調べた。
歴史のある温泉地である事は間違いない。


今は、上高地、乗鞍など山岳観光の拠点としてこの時期賑わう。
冬は積雪も多く、雪や氷のイベントなども行われる
当然、雪見風呂は自慢の温泉地である。


宿の人の話だと、それぞれの季節が 「濃い」 らしい
変に納得出来るコメントだ。


外を歩く事にしよう。


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四方を緑一色に囲まれ、その中にひときは目立つ白樺     

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白い雲が口を明け 日差しが時折差し込む
この青い穴は宇宙へと続くのだ。


日差しを受け、葉の一枚一枚がキラキラと光る 
うまい表現は苦手である
たぶん、今、私の顔は ハイジのように爽やかな笑みを浮かべている


新宿を出る時、正直めんどくさい とも思った
きっと眉間には2本と半の シワがよっていただろう


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玄関を出て、左に進む
石の組まれた5段ほどの階段を上がり
宿の建物に沿って、斜め右


この先に吊橋があると言う
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        散策路の看板を見つけて先へ進む
        雨上がりのせいなのか、やたらと 緑 が濃い
        「四季が濃い」と言う話をすでに実感している。


                            一歩一歩 ゆっくりと歩きたくなる
                            スゲー!が一番解りやすい表現だろうか
                            学の無い私の 精一杯の賛美である。
                            


     吊橋を目指す                          つづく


山懐の地より
                            
                    






普段朝食など食べないのだが
宿に泊まると必ず ご飯 をおかわりする
ここのご飯が美味しいから なのではなく
昔からそうなのだ。なぜだかは未だに分からない。


この年になり、旅をする事にも慣れ
最小限の荷物で出かける。
時には手ぶらで宿を訪れる事もあったが
宿の人から不審者に見られた事があったので今はしない。


ナップザック・・・・今はこの名を使う人はいないかもしれない。
背負うヒモを左右にギューと引いて口を閉める
遠足の時、そのヒモが肩に食い込むのが痛くて、タオルを巻いて
ヒモを太くし、ヒモに掛かる荷重を分散し、痛みを無くして使っていた。
うなずいている人は同年代のはずだ。


今の呼び方はよく分からないが、私が持って来たのは 正に
ナップザックである、しかも、NIKEのロゴが入っているのだ

少し前は高級なブランドであったはずだが、今は安価である
そういえば、昔、ピエール・カルダンと言うブランドが日本に旋風を起こした
しかし、最後は友達の団地の家のトイレのスリッパにも
そのロゴマークが入っていた事を思い出す。


話を戻そう


私は必ず、旅の友としてカップ麺を忘れない
夜、なんとなく食べるのだが、この宿では、夜食のラーメンが無料で
振舞われる。うれしいサービスだ。


サービスとしてはうれしいのだが、今朝、自慢のナップサックから
電動髭剃りを出そうとして驚いた。
うれしいサービスのおかげで食べ余したカップ麺のフタが
今にも破裂しそうなまで盛り上がっているのだ。


しばらくクルクルとカップ麺を回し見していたが、「あっ」と出た言葉と共に
すべての事が解決した。

「気圧」だ、気圧が違うのだ!
昨日、到着し、階段を上がりながら、体調に不安を抱いた息切れも
なんだかやけに疲労を感じ 「年のせいだ」 と もみ消した切ない気持ちも
すべて気圧のせいだったのだ!


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空と地上の境が 雲 だと思っていた頃
此処はその境界に位置する
天空の地なのだ


さて、本来の目的の為に、ここの事を探ってみる事にしよう。


                                          つづく


山懐の地より









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月を歪ませ、次第に存在をも隠そうとする。
明日の空は期待出来ないかな と思った。




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           昨日決意した朝の風呂は やはりいい 。
           それと期待出来ないと思った空は 期待を裏切った。 

           「雨」


           おかしな表現ではあるのだが
           固定観念は環境がかなり影響するのだと思った
           当然、晴天を期待していたのは事実である
           そこには「晴」とは気持ちの良いもの、と言う観念があり
           「雨」とは、ユウツ な環境 なのだと思っている。

           たぶん、これからも私は雨は嫌いだ
           おそらくその理由は子供の頃から始まるのだが
           


           遠足、夏休み、海、プール、野球、缶けり、花火、運動会
                釣り、自転車、キャンプ、ことごとく雨にやられた記憶が嫌いにさせた。

           
           

           


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絵画に雨を描いた物は少ない と 思うのだが
広重や北斎は雨を描いている。

ここにはそんな「絵」があった
これもまた 日本人の感性なのだろうか

大人になり、「あきらめる」事を知り
腰を据える事も出来るようになると 雨を絵として見る事が出来るのだ
そんな事を 今 思った。


巣箱の鳥に気付き、小さな窓が絵に見え
同じ色の花がこんなにある事に
しかも花に興味を持つなんて事は 


雨のせいである。


                                         つづく


山懐の地より


            







           


           
           
           
           
           
           


 

  時に人は怠け者になる
  自分が怠けている事を良しとしちゃう


  それが 温泉の醍醐味? 


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             仕事だったり、人間関係だったり、なんだか
             ギューとなったりする
             その場にジーとしてる事がとても嫌な日なんかもある


             出かけよう
             


             窮屈なシートに座り、時間を贅沢に使い
             コトコトと景色なんかを横目で見て
             とりあえず解決しない問題なんかを 一つ一つ
             考えたりしてみる


             逃避だ、逃げるのだ、こんな景色を見ちゃうと
             それもあり かと思う


             一度そんな卑怯な事もあり と 肯定すると
             今度は勇気が湧いてくる


             自然はそんな気持ちにさせる仕掛けをそっと仕込んでいる


           


               やっぱ 温泉はいい、今日は何にもしないでいいや


                            つづく


 山懐の地より